インプラントの前にAPFで歯を残そう!
虫歯が大きく、抜歯してインプラントでないとダメといわれた歯…
もしかしたら、抜かないで残せるかもしれません…。
可能な限り自分の歯を抜かずに生かす方法です。
大きな虫歯によって、抜かなければならないぐらい形がなくなった歯を…
抜歯せずに、その歯を生かし、
再びかぶせ物ができるようにする、歯周外科治療です。
当院症例:①APFを行った症例
主訴:この歯は抜いてインプラントにしましょうと言われたが、
この歯は抜かないで、生かして治療は可能か?
真ん中の歯が主訴の歯です。虫歯でほとんどの歯の形を失い、残された歯は歯茎の中の方にしかありません。この状態で相談を受けました。
この状態であれば通常抜歯になります。残っている歯が歯茎の下に入ってしまった場合、型どりを行って差し歯を作ろうと思っても、歯茎が大きく腫れるなど様々な悪い症状がでるなど、歯を残すことによって結果的に抜歯するよりも大きなデメリットが生じてしまうからです。
また無理やり差し歯を作ったとしても、不具合が多いかぶせ物が出来上がってしまうからです。不具合のあるかぶせ物は周りの組織に様々な悪影響を及ぼします。つまり、このままの状態だと使える状態ではないということです。
しっかりとした差し歯を作るには、健康な歯の部分が歯茎より約1mm出ているという条件を満たさないといけません。歯茎の中に入ってしまった歯を歯茎から、すこし出して歯茎から歯が出ている状態にしてあげれば、しっかりとした差し歯を作ることができます。
そうすれば、歯を抜かずに、その歯を生かして治療することが可能であるという事です。
横から見た写真です。黄色の○が問題の歯です。虫歯で歯の形を失いすぎて、歯の形は横から全く確認できません。歯の根には問題がなかったので、この症例ではAPF(Apically Positional Flap )という処置を行いました。
処置直後の写真です。白い歯の右に注目してください。
手術前と比べて、歯茎から歯が出てきたのは確認できますでしょうか?
歯茎を開き、歯を支える周囲の骨を少量削り、歯茎を上にスライドさせて固定することで
可能になります。
処置後、歯茎が引き締まるのを確認して、歯に土台を作りました。
この後、金属のかぶせ物を作るために型どりを行いました。
とても適合が良く、しっかりとしたかぶせ物をセットしました。
歯茎の状態も非常に良い状態です。現在で問題なくかぶせ物は機能しています。
すべての歯が歯冠長延長術の対象ではありません。
適応症があります。歯冠長延長術が可能かどうかは診査診断を行い担当ドクターが判断します。
当院症例:② APFと矯正を併用させた症例
右下の銀歯を白い被せ物にしてほしい
問題の銀歯を2歯外したところ
右の歯は非常に虫歯が大きい状態でした。部分的には歯は残っていますが、歯の半分は歯を支える骨の近くまで虫歯は進行していました。
ここまで虫歯が進行していると、長持ちする被せ物を作ることはできません。無理をして作製してもすぐに再び虫歯になってしまい、被せ物は使えなくなってしまうのです。
今回は、あまりにも、虫歯の状態が悪くAPFだけでは対応できません。無理に周囲の歯を支える骨を削りすぎてしまうと前後の歯が悪くなってしまうのです。本症例は、歯の矯正とAPFの併用療法で対応しました。
問題の歯を、矯正によって少し上に引っ張ってから、APFを行います。
前後の歯を利用して、真ん中の歯を上に引っ張り上げましたが(上記3つの写真)
しかし、3か月後、引っ張り上げた後は、周囲の歯茎、骨は歯と一緒に盛り上がってしまい、変形してしまいます。このままでは、質の良い被せ物を作ることはできません。この後、APFを行って、歯茎、骨の形を整えていきます。(⇒下の写真)
↑上の写真は、治療前からAPF後の比較写真です。左の写真は骨に残存歯質が埋まってしまっている状態です。中央の写真は、矯正を行った後の写真です。歯は骨から出すことはできましたが、骨が変形してしまいました。右の写真は変形してしまった骨と歯茎を整えた写真です。
↑上の写真は、左が「初診時」の写真で右が手術を行い、被せ物を作る直前の「型どり時」の写真です。歯茎の形もきれいに整い、被せ物をつくる準備が出来ました。
APFを行うと通常では抜かなければならない歯をしっかり残すことができる処置なのですが、もともとは、歯周病の手術なのです。重度の歯周病で弱ってしまった歯肉を再生増殖させることもできるのです。上の写真二つをよく見比べてください。手術後の二本の歯の周囲の歯茎が分厚く増殖し、よりピンク色になり新鮮な歯茎に生まれ変わったのがわかりますか?歯茎がより固く生まれ変わったので歯周病に対しても抵抗力がついたのです!
APFは、利点の多い処置なのです。
この後、患者さんにはしっかりとした丈夫な白い被せ物をセットすることができました。
※APFは適応症があります。担当Drがお口の中を拝見して処置できるか判断します。