① 歯周再生療法とは?

歯周病が部分的に、より重症化した部分(歯を支える骨がより多く溶けてなくなってしまったところ)は歯周外科手術で歯茎の奥底の歯石を除去しただけでは、治癒の経過が良くなかったり、歯周病が再発したり、歯が揺れて抜けてしまったりします。通常の歯周外科手術で歯石は除去できても失われた歯を支える骨を再生することは出来ないからです。

再生療法は失ってしまった歯を支える骨を再生させます。

骨を再生させ、歯を抜かずに保存します。

再生療法の際に使用する材料はEMD(エムドゲイン®ゲル)と言います。

② エムドゲイン®ゲルとは?

赤ちゃんの時の歯の発生過程の研究から生まれた歯周病患者さんのためのブタ歯胚組織を使用した歯周組織再生材料です。

エムドゲン

エムドゲン術式

スウェーデンのビオラ社で開発されたブタ歯胚組織を使用した新しい歯周再生材料です。

エルドゲイン®ゲルの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供の頃、歯が生えてくる時に重要な働きをするタンパク質の一種です。現在の科学の水準に基づく安全性確保の下、幼若ブタの歯胚から抽出精製したもので、世界44か国以上で使用されています。

③ 再生療法の目的とは?

歯周病によって失った歯を支える骨を再生させ、歯周病の改善と歯周病の再発を軽減させます。

歯周再生療法欠損模型

 上の写真のような

 「ポケット5~6mm以上(特に垂直性)の歯は10年以内に統計で70%失う可能性がある。」

という、統計上の研究結果が存在します。これにどう抵抗して長い間自分の歯を持たせることができるかが歯周病治療なのです

歯周基本治療が終わっても歯周ポケットが4mm以上で、

歯周病活動性(出血、膿、揺れなど)がある歯を…

10年以上もたすには…

歯周病の進行を抑え、さらに歯周病の再発のリスクを減らす必要があります。

そのために、理想では、ポケットを3mm以下にし、それを長い間維持する必要性があります。 

それを達成するにはどうしても、

特殊な歯周外科(再生療法など)が必要になってきます。

再生療法は

歯周病によって失った歯を支える骨を再生させ、

歯周病の改善と歯周病の再発を軽減させ、

自分の歯を抜かずに長持ちさせます。

歯槽骨欠損モデルとレントゲン写真

 

再生療法:エムドゲイン®ゲル当院症例①

再生療法骨欠損

歯茎を開き徹底的に歯周病の原因である歯石を除去します。

しかし、あまりにも部分的に歯を支える骨がなくなってしまったため、骨の形がいびつになってしまっていました。歯石しっかり除去しても歯茎はいびつな形に治ってしまいます。

そうなると、せっかく治した歯周病がまた再発してしまいます。

再生療法説明

エムドゲイン®ゲルを注入して、骨を再生させ骨の形を良い状態にします。

エムドゲン填入

エムドゲイン®ゲル注入完了。

骨補てん剤

さらに骨を再生しやすいように骨補てん材を入れます。

エムドゲン終了

開いた歯肉をしっかり縫合し閉じます。

抜糸は約2週間後に行います。

レントゲン像

術前:中央の歯の左側歯を支える骨が歯周病により溶けている状態です。

この部位にエムドゲインと骨補てん材を充填します。

レントゲン像填入

術後:エムドゲインと骨補てん材の注入が終わりました。

骨がない部分に、白いものが詰まっているのがわかります。

しかし、充填した骨がすべて、再生して機能するわけではありません。

レントゲン像回復

術後3か月:充填した骨補てん材も徐々に骨に定着してきました。

このまま骨が定着すればかなりの割合で、骨が回復したことになります。

再生療法比較症例

当院症例② 下顎右側臼歯部

下顎臼歯再生療法

下顎臼歯再生療法術中

歯周基本治療を行っても、右下奥歯3本の歯の歯周ポケットは平均で7mmでした。

部分的には歯周ポケットは12mm認める箇所もありました。(上記の写真、左下)患者は膿が止まらない、慢性的な違和感、歯茎のかゆみを訴えていました。それを改善するために再生療法をおこないました。

現在は手術後1年異常経過しましたが、歯周ポケット3~4mmと落ち着き、訴えていた主訴もなくなりました。

当院症例3 上顎右側犬歯

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※ストローマンジャパン株式会社のホームページから一部引用させていただきました